黒田清輝展@東京国立博物館
正直、教科書で見たことあるレベルの知識での訪問。
会期終了間近だったのもあり、折角なので行ってみた。
日本人ではあるけれど、先日見た歌川国芳、歌川国貞のようなザ・日本画と言える浮世絵のような画風ではなく、法律を学びに行ったパリで培った西洋絵画スタイルが特徴。
師匠は、印象派の影響をうけたラファエル・コランという画家らしい。
ラファエル・コラン『庭の隅』<1895年>
外光派と呼ばれる一派に属するそうで、確かに柔らかなあたたかみのある空気感と
陽の光が印象的。
★★★★★★
そして今回気になった作品の一つ目は
『婦人像(厨房)』<1892年>
展覧会の入り口を入ると、いきなりこの絵とご対面。
絵のサイズは大きめで、圧迫感はあるけれど、
動きや表情を決して誇張させないようなこの描き方は、日本人の持つ繊細さの
ようなものを感じさせてくれた。
『舞妓』<1893年>
あとは、舞妓の絵。
日本を象徴するような対象が西洋風に描かれるこのアンバランスさが、
見ていて飽きないなとか思ったり。
それと、いくつかあった西洋画の展示も目を引いた。オルセー美術館から、ミレーの『羊飼いの少女』なんかも特別出展されていたが、自分が最も気にいったのはこれ。
アレクサンドル・カバネル『フランチェスカ・ダ・リミニとパオロ・マラテスタの死』<1870年>
このパオロとフランチェスカの絵は、同じテーマで何人かの画家が描いていて、アングルが描いたのを本で見たのが最初だった。
フランチェスカは、家庭の事情で結婚することになるが、相手はなんとも不細工な男、ジョヴァンニ。
そしていつしかフランチェスカは、ジョヴァンニの弟でイケメンのパオロと恋に落ちるが、それが兄にばれてしまい、2人とも殺されてしまうというストーリー。
左からフランチェスカ、パオロ、右奥で剣を持ち、物陰から2人をのぞき込んでいるのが兄のジョヴァンニ。
カバネルと言えばオルセー美術館の『ヴィーナス誕生』が有名だけど、やっぱり魅力的な絵を描くなと思った。
なんか優美でいてなおかつ人物のもつ生々しさを感じるというか。
★★★★★★
展覧会はもう終わってしまったが、とにかく行ってよかった。
黒田清輝は画家を志すのは遅かったものの、そのポテンシャルから驚くべきスピードで
上手くなっていったのがよくわかる、大変興味深いものになっていたと思う。
自分もまだまだこれから。
終わり。