絵画ブログ

絵画好き、旅行好き会社員。美術館訪問を通じて感じたことを適当に書きます。

ルノワール展@国立新美術館

昨日、六本木は新国立美術館で現在開催中のルノワール展に行って参りました。

土曜日でしたが、朝早く訪問したことがよかったのか、結構空いている状態で入館することが出来ました。

 

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ルノワールと言えば、印象派のなかではモネなどと並ぶビッグネーム。

しかも今回は、なんとあの『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会にて』が来日していると聞いたものだから、これは見に行かずにはいられませんよんね!

この一枚に入館料の全額を支払ってもいいと思えるくらい、まさか日本で見られるとは思ってもみなかった名画です。

 

全体的な感想としては、ルノワールの絵全体に漂う温かさが印象的でした。

それは、キラキラと輝く光というより、春の草原のような、ポカポカと温かく、

時たま心地よい風が頬を撫で、おいしい空気をいっぱいに吸い込むような、そんな温かさです。

 

ルノワールは、「幸福の画家」と呼ばれるようですが、一言で表すとすればそうなるだろうな、と納得でした。

 

そんなポカポカ感が漂うルノワールの絵画を一部、ご紹介いたします。

 

★★★★★★

 

入館してすぐ、見覚えのある絵画とご対面!

 

『陽光のなかの裸婦』<1876年頃>

 

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印象派が得意とする、移ろう生きた光の表現が素晴らしい、ルノワールの代表的な裸婦像。当時、この絵を見た批評家が、腐肉のようだと批判したらしいですが、

女性の周囲を取り巻く緑の反射がなんとも涼しげで、心地よい。下を流れているであろう水の冷たさまで感じますね。

 

『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会』<1876年>

 

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ミーハーな僕は、今回この絵を本当に楽しみにしていました。手に取る絵画関係の書物で、幾度も目にし、その度わくわくさせてくれた、生活の喜びが一枚に凝縮されたようなこの絵。まさかこの絵が日本で見られるなんて・・・!!

毎回展覧会の目玉絵画にはついてまわることなのですが、やはり絵の前は大混雑。

「所詮みんなミーハーか」

そんな光景に多少白けてしまいつつも、自分もその雑踏の中へ飛び込んでいく。

混雑のため、絵が完全に見えるようになるまでには多少の時間を要する。最前列で鑑賞している人が絵の前を離れていく度、自分が徐々に前に前に進めるようになる。

それまでは、前にいる人の頭越しに絵をのぞき込むような形になるので、全体像を把握することは出来ないのだ。

ちょっとの間我慢すればいいことなのに、早く早くと、気付かない間に背伸びしてしまう。

ふと、こんな光景をルノワール本人が見たら、にやりと笑うだろうなぁとか考えながら。

 

やっとの思いで絵の前に辿り着くことが出来たのだが、期待しすぎたのか、思ったほどの感動がやってこなかった。

残念とか、がっかりとも少し違うが、とにかく、好きな絵と対面したときの、心を打ちぬかれ、絵の前から動く気力を奪われるあの感覚が無かった。

 

それでも、絵画の中に描かれた人たちは楽しげで、美しい絵であることに変わりはなかったのですが。

 

ベルト・モリゾ『舞踏会の装いをした若い女性』<1841-1895>

 

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不意をついて現れたのが、大好きなモリゾの作品。滑らかで、触れると消えてしまいそうな女性の白い肌と、衣服に現れる鋭利な白。

使い分けられた色が生き物のように躍動していて、本当に素敵です。目が飽きません。

 

『ジュリー・マネ』<1887年>

 

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こちらは、先述したモリゾの娘を、ルノワールが描いたものです。

近くで見ていた女の子たちが、「かわいいー!」と漏らしていましたが、ほんとにその通りで、非常に癒されます。

ジュリーが抱く猫もめちゃくちゃ愛らしい。

全体的に暖色系で統一されていて、ルノワールが描く絵に特徴的な、ぽかぽか感で溢れています。

 

『ピアノを弾く少女たち』<1892年>

 

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今回一番のお気に入りはこの絵。ピアノを弾く少女たちが、とても愛らしく描かれています。

ルノワールは、そこに漂う幸福感を、陽光や、温かな空気を描くことによって鑑賞者に一目で

「あ、この人は幸福なひと時を描いているんだ」

と気付かせているような気がしました。

丁度、ある物語の、人が死ぬ場面で雨が降ってきたり、ハッピーエンドの直前に曇っていた空から日が差すように、ルノワールは人の感情やそこに漂う幸福を天気や空気を使って暗示しているのではないでしょうか。

また素晴らしいのが、ピアノを弾くという一見すると何気ない行為の中に幸福を見つけ、それを描いていること。万人が、「幸福だ」と感じるモチーフに頼らず、ブランコや猫など何気ないモチーフを使って、一目で幸福感を鑑賞者に伝えるルノワールの技量に感服です。

 

★★★★★★

 

他に、印象的だったのが、前半の肖像画群がわりと暗い色使いで描かれたものばかりだったということです。

先述のジュリーの絵とは対照的な暗さ。それだけに、人物の顔が効果的に浮かびあがり、肖像画としてバシッと決まっていたような気はしましたが。

こんな絵も描いててたんだと驚きました。

 

次の土曜日は、若冲とカラバッジョを見に行く予定。

はい、ミーハーです。。。

 

では