はじまり、美の饗宴展‐すばらしき大原美術館コレクション@国立新美術館
今回は、東京は六本木にあります、国立新美術館
にて開催中の「はじまり、美の饗宴展‐すばらしき大原美術館コレクション」
に行ってきました。
大原美術館は、日本に西洋の美術を伝える本格的な
美術館のはしりでもあります。
この美術館の発案者は大実業家の大原孫三郎。
その思想に共鳴した同時代の画家、児島虎次郎は、
ヨーロッパで展示品の収集に奔走しました。
大原美術館の最大の特徴は、その展示品の幅の広さ。
西洋近代美術だけにとどまらず、
エジプトやオリエント、中国で発掘されたふるーい美術品や、
日本近代の洋画や、現代美術までも収蔵しています。
流行りに流されず、独自の審美眼で作品を選んできた、
という感じです。
★★★★★★
今回、この美術展に行こうと思ったきっかけは、
この作品が展示されていると知ったからでした。
アメデオ・モディリアー二『ジャンヌ・エビュテルヌの肖像』<1918年>
悲劇的な人生を送ったことで知られるイケメン画家、モディリアー二の作品です。
作品のモデルは、モディリアーニ最後の恋人、ジャンヌ・エビュテルヌ。
彼女はその美貌から、モディリアーニの創作意欲を存分に刺激しました。
モディリアー二は晩年、ジャンヌ・エビュテルヌの肖像を多数描いています。
(ジャンヌ本人と言われる写真。美人ですね。。。)
共に絵描きであった2人は深く愛し合っていました。
しかし、悲劇が訪れます。モディリアーニは、もともと病弱であったうえに、
酒と薬に溺れる生活を送っていました。
そして、35歳という若さで亡くなってしまうのです。
ジャンヌは、モディリアーニのいない世界で生きていくことなど
考えられなかったのでした。
モディリアー二が亡くなった2日後、ジャンヌはその後を追うように
飛び降り自殺をしてしまいます。お腹には、妊娠中の赤ん坊がいたそうです。
この絵に描かれているジャンヌは、画家と恋人だけの幸せな空間を想起させます。
イタリア旅行中、モディリアー二がボッティチェリから着想を得た首のカーブが、
体全体に古典的なS字の曲線を描かせています。
くねらせた体と、際立って紅潮する頬が、愛する人を前に気持ちの
高ぶりを抑えきれないジャンヌの様子を見事に描き出しているようです。
きっとジャンヌは、モデルを務めながら、
今すぐにでも間近で仕事をするモディリアーニに
触れたかったのではないでしょうか。そんな絶妙な距離感が伝わってきます。
目に瞳が無いのは、モディリアーニの絵の特徴のひとつであります。
近くで見ると、魚のウロコのように銀色に光っていました。
モディリアー二はあえて瞳を描かないことで、
人の物質的な肉体をそのまま描くのではなく、そこにモデルの魂を描こうと
している。と、僕は考えました笑
★★★★★★
他にも、エル・グレコやルノワール、ドガなどの
日本でも人気の洋画家の作品や、
先述した児島虎次郎が描いた和と洋が見事に融合した絵画
児島虎次郎『和服を着たベルギーの少女』<1911年>
などがあり、とにかく破壊力抜群の展覧会です。
僕の好みのせいで紹介がかなり偏ってしまいましたが、
ほんとーーにあらゆる地域、時代のものが展示してあるので、
誰が行っても楽しめるはずです。
開館は、4/4(月)まで。
では。