絵画ブログ

絵画好き、旅行好き会社員。美術館訪問を通じて感じたことを適当に書きます。

彫刻、ギリシャ神話③

くどいようですが今回もギリシャ旅行シリーズです。

前回に続き3つめです。

 

ここまで見てきた、ハデスによるペルセポネの誘拐や、

ゼウスがレダに近づくために白鳥に変身した物語に

見られるように、ギリシャ神話の神様って時に大胆な行動を

とることがとても多いんです。

 そこが魅力のひとつだったりするのですが...。

 

今回紹介するお話は、いくら大胆とは言え

「それはさすがにやりすぎでしょ!」

とツッコミを入れたくなるようなお話です。

 

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この女性。またまたクレタの考古学博物館から。

 

何やらおびえたような顔つきですね。

何だろうと下に目をやると、どうやら子供をかばっているように

見えます。子供のサイズ感がちょっとおかしい感じもしますが笑

 

これ、誰だか分かるでしょうか。

 

...

 

実は、もう少し引いて見るとヒントが隠されているんですね。

 

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!!?

 

ただならぬ雰囲気ですね。

なんと、子供が何者かによって弓で狙われているのです。

じゃあ、この人は一体誰なんでしょうね...??

 

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見た感じ、女性ですよね。

 

ギリシャ彫刻において、弓を持った女性と言えば...??

オリンポス12神のひとり、

狩猟の女神様、アルテミスであると予想がつきますね。

 

ここまで分かれば、アルテミスが子供を弓で狙っているという場面から、

思い当たる神話がひとつあります。

 

★★★★★★

 

あるところに、ニオベという王妃がいました。

ニオベには、14人の子供がおり、沢山の愛情を注いで

育てていました。

 

そんなある日、ニオベは勢いあまって

失言をしてしまうのですね。

 

「レトなんて、崇められてはいるけれど、2人しか子供がいないじゃないの。」

 

レトというのは何を隠そうアルテミスと、芸術の神アポロン(こちらもオリンポス12神でアルテミスの兄)の母親です。

ニオベは続けます。

 

「アルテミスは男のように狩りに明け暮れるばかりだし、

アポロンのほうは女みたいになよなよしてるのよね。(ケッ!!)」

 

こんな悪口を聞きつけたレトは人間の高慢な態度に怒っちゃうんですね。

そこで、天からニオベのもとにアルテミスとアポロンを派遣します。

 

天から降りてきた2人は、オリンポス12神の中でも弓の名手

として有名なのです。

 

背中の矢筒から弓矢を取り出し、狙ったものは...。

 

もうお分かりですね。

 

ニオベの大切な14人の子供たちめがけて矢がズバズバと降ってきます。

子供は矢を受け、その場でバタバタと死んでゆきます。

ニオベの周りには、温かな鮮血と、冷たくなった子供の亡骸。

 

写真の作品が表しているのは、子供のひとりがアルテミスに

命乞いをするシーンであるというわけです。

 

結局、子供は全員殺されてしまい、ショックでニオベの夫も自害します。

そして、ニオベは悲しみのあまり、石になってしまいます。

どういうこっちゃ。

 

★★★★★★

 

どうでしょうか。

「やりすぎだろ!」

と思いませんか??笑

 

てなわけで今日は、神様の残酷な一面を紹介してみました。

では、このへんで。